分光

Bingの提供するPCの日替わり壁紙、今日はカメだ。カメが石かなにかの上に乗っていて、そのカメの頭というか鼻先にガのようなチョウが一匹とまっている。なんだこの写真と思って検索してみると、カメはエクアドルに生息するモンキヨコクビガメという種類のもので、このカタカナ、どこで切るのかよくわからず、モンキヨ・コクビガメ、かな? と思ったらどうやらモンキ・ヨコクビ・ガメのようである。頭に黄色い紋様がついている(紋黄)、ヨコクビガメ科。ヨコクビガメという種類自体をよく知らないのでさらに検索をかけてみると、この種類のカメは頭を甲羅の中に引っ込めることができないために、頭を守るときには甲羅のヨコに首を曲げるようにして隠れるという。なるほど。そして写真でチョウがとまっているのも意味があるらしく、チャイロドクチョウ(茶色毒蝶だろう)はこのカメの流す涙を栄養源にしているという。なるほど意味があるわけである。今日は世界カメなんとかデーとのことであるからこの写真が選ばれたのだろう。


ところでこのカメ、やたらと狭くて急角度な石の上に乗っかっていて、いわゆる前足が宙に浮いている状態である。自力でこの場所にどうやって登ったのだろう。写真をそのままスクショすると著作権的によくないかもしれないのでイラストにする。



背景は川のようだ。なんとなくだけどこのカメ、撮影者によって石の上に置かれたのではないかという懸念がちょっとだけある。石の上に置いて待ってたらチョウが飛んできて絶好の構図になりました、という雰囲気。まあわからないが……。どうにかして石の上に登りたがるカメなのかもしれないが……。


そもそもこの日、デスクトップ壁紙にカメが選ばれたのは、「世界カメの日」だから、ということらしい。「米国のカメ保護団体「 American Tortoise Rescue 」が、カメの保護を呼びかけるために 2000 年に制定した記念日で、今年で 25 周年を迎えました。同団体はこれまでに約 4000 頭のカメの保護・救助に携わり、生息地の保全にも力を注いでいます」とのこと。Tortoiseとturtleの違いはなんなのかと思うとtortoiseがリクガメでturtleはウミガメ(も含むカメ全般)のようである。TMNTは陸戦ばかりしているけれどあれはじつはウミガメだったのかもしれない。TMNTがなんの略だって? それはもちろんカワバンガである。ともあれ、もしカメラマンがカメを石の上に置いて映える写真を狙ったのであれば、それはカメ保護団体としては許せないことであろう。私も義憤にかられる。しかし、あるいは、カメというものは、私が知らないだけで、こういう突起のような石の上にもホイホイ登れる能力があるのかもしれない。怒りで有頂天になる前に(ふいんきで書いているので間違いを指摘していただなかくても大丈夫です)、もう少し検索をかけてみる。するとこんなページが見つかった。


うちのカメが気がつくとこのように高いところにいるのですが何故なんでしょうか?


途中から話がぜんぜん違う方向に向かってそれでも相談者が喜んでいるので一読の価値はあると思う。一読の価値しかないとも言えるが。まあいい。カメはこれくらいの石にも登れるのかもしれない。カメラマンを悪人にするのはやめよう。カメ専門のカメラマンがいたらカメカメラマンだな。入射光と分子との相互作用によって入射光の振動数が変化する光散乱現象を利用しカメの構造についての情報を得るカメラマンがいたらカメラマンカメラマンだな。



ちなみにBing壁紙には「AI画像を表示する」という項目があってそれがデフォルトでオンになっていた。デスクトップの壁紙がAI画像であっても特に困らないのだけれど、そうか、AIによって生成された画像を世界のどこかの風景だと勘違いしてしまうことも十分にありえるのだなということが、なんだかとてもさみしくなってしまって、チェックボックスをオフにした。それでカメが消えたらいやだな、と思いながら。