12時までに切り出しが終わるかと思ったが……12時20分だった! 惜しい! 学生相手にあんなに熱心にべらべら説明しなければあと15秒は縮められただろう。15秒しか縮まらないのならばその後の30年を変動させうる学生への説明を省略してはいけないだろう。そうやって少しずつ、意図を込めた手技が増えて、重量が増し、私の動作はのろくなっていく。タコ糸に塩をぬりこみましょう。それを雪の上にたらしましょう。しばらく経ってからタコ糸をそーっと持ち上げると……ほら! 雪玉が釣れた! これはなんの記憶だろう。小学生くらいのときに読んだ科学系の読み物、どれだろう。ふしぎシリーズか、コペル21(公文式が出していた雑誌)か、あるいは小学○年生くらいに載っていたちょっとしたページの片隅のあそびだったのか。塩水のまわりで氷結温度が下がっていったん水になり、でも、その水のまわりに濃度勾配ができて、外側はまた凍り始めるので「雪玉が釣れる」、という解釈だったと思うが、これは、化学的には正しいのだろうか。わからないけれど私というタコ糸はいつも塩味にしめっていて、まわりにぼとりぼとりといろいろなものをくっつけて不格好に腫大していく。どうでもいいけれど、塩味(しおあじ)ということばを塩味(えんみ)と呼ぶ人間は基本的に服のセンスが私の主観でいうとださい。なんかぱつぱつしている。スパッツで外歩くな、みたいな感じ。主観なので反論されても困る。
ハゲタカジャーナルから執筆や講演の依頼が毎日とびこんでくる。MDPIから論文を1本でも出してしまうとこういうことになる。ただ、その一部は、必ずしもMDPIではないところから出した論文のメールアドレスを頼りに連絡をとってきているようでもある。最近は特に、超音波系の雑誌の総説から私のメールアドレスをプログラムで自動収集したのだろうなと思われるメールがじゃんじゃんくる。ドラえもんの中にときどき入っているドラミちゃん回で、夜中にのび太が眠っているご近所相手にテレビ放送をやる、という話があって、そこでのび太が下手なことをするとドラミちゃんが部屋に飛び込んできて、「じゃんじゃん電話! のび太の声なんて聞きたくないって」というのが楽しくて、なんだか、「じゃんじゃん」という言葉をうっすらネガティブな意味合いで使うのにそれ以来ハマっている。ハマりつづけて40年といったところではなかろうか。長いハマり方だなあ。