ハッピークラッキングキーボード

新しいキーボードを買ったのだが思いのほか苦労している。

ものはいい。入力音がカチャカチャ言わない。サコサコ言う。確かに気持ちいい感じはある。しかしこれまでの打鍵が強すぎたのか、指にぶつかってくる感じもある。指先が衝突する感触。なんか指先にばいきん入って膿む気がする。もっとやさしく入力しないといけない。ぼくの手や入力スタイルのほうをフィックスしていく必要がある。

パワポを使う仕事なので、矢印を気軽に使いたかったから日本語配列にした。それはまあいいのだが矢印の場所に慣れない。エンターが遠い。長音(ー)も遠い。Caps rockがなくなったのはまあどうでもいいのだがCtrlキーの場所がCaps rockの場所になった。コピペするときにうっかり間違えてファンクションキーを押してしまう。テンキーがない。半角/全角ボタンはどこだ。ない。かわりに特殊なボタンで英語と日本語を切り替えるらしい。なるほど。Mac使いの人なら英語配列だからそんなに違和感はないだろうな。でも長年のWindows使いにとてはいろいろ慣れない。キーをフィックスすればいいのか? めんどくさい。自分でどこをどうフィックスしたか忘れそうだ。

そういえば手首の角度がけっこうしんどい。これまではひらべったいキーボードだったからなあ。手首の下に敷くマットみたいなものを購入した方がいいかもしれない。

ここまで入力するのにいつもの2倍くらい時間がかかっている。探り探りだ。誤入力も多い。キータッチ練習ソフト「北斗の拳」などでいちから練習しないとだめだ。

うーん。

いいと言われたブランドの服を試着したときの違和感みたいなもの。あるいは、そうだな、国産じゃなくて外車に乗りなよと言われて試乗してウインカーを出そうと思ってワイパーを動かしたときのあの感じ。羞恥心を伴う身体のずれ。

ピアニストやギタリストは高い楽器に買い換えたときに「弾き慣れた楽器のほうがいい」とは思わないのだろうか。最終的には「やっぱりいいものはいいよね」となるのだろうか。無意識が語りかけてくる。「値段が高い商品を使いこなせないのはお前が安っぽい人間だからだ」。ちなみに今の「安っぽい」を入力するのにも二度も失敗している。

これだけ打って早くも肩が凝ってきた。ELECOMの3000円のキーボードを使い潰しながらずっと使っていればよかったのではないか。「よかった」が「よかた」になる。「になる」が「におまる」になる。たった今届いたメールを消そうと思ったらDELがなくてBSしかないのだ。ファンクションを押しながらBSを押すとようやくDELになるらしい。

これがハッピーハッキングキーボードなのか。うーん。日常をクラッキングされたような気分である。37000円くらい使ってこれなのか。みんな本当にこれがいいと思っているのか。ぶつぶつ言いながら毎日ブログ書いて慣れていく。やることがあっていいですね。はい、おかげさまでよぼよぼやっております。「よぼよぼ」が「よびうよぼ」になる。