思う思う思う

年を取るといろいろ大変になるんだよ、君もなってみればわかるよ、大学は雑事が多くてしんどいんだよ、君も働いてみればわかるよ、みたいなことを次々と浴びて、まあそうだなと思いつつ、このような体感を周りに吐露するってどれだけ追い込まれてるんだろうなと、先達の辿ってきた道のりを慮ることにする。今日は、そうだ、人を思おう。たしかに年を取るといろいろうまくいかなくなるものだ、目はかすみはじめた、腰も首もしんどい、肛門もままならない、脂には弱くなるし、疲れているのに夜中に目が覚めるし、膀胱のふんばりも効かなくなる、しかし、しかしだ。そのことを下の人間に伝えなければならないほどに追い込まれていたというならば、それはその人がその場所で相当しんどかったというだけの話であって、まあ、なんかかわいそうだなと思う。ふつう、このようなタイプのつらさをいちいち若手に伝えたりはしなくていいと思う。何を考えていたのだろうなと思う。何にそんなにやられていたんだろうなと思う。

情けないやつらだ、な、と思う。

まあ、私も、こうしてブログには書いてしまっているのだから、その情けなさを共有しているわけなのだけれど。おずおずと、しかし思う、思い続ける、俺にああやって偉そうに説教していたやつら、全員、どうかしていたんじゃないかと、思えてしかたがないのだ。



ウェブの研究会のあと、「そのまま残っててくださーい、反省会やりまーす!」と言われ、反省することはあったが反省を共有したくはなかったのでログアウトした。いまごろ困っているだろう。私もまた、下を困らせるおじさんになった。



40分 3700円

50分 4600円

60分 5550円

80分 7400円

この料金は今もこうだろうか。

この問い合わせ先はまだ生きているだろうか。

定宿のデスクにおいてある出張マッサージの料金表。

これを見て、電話をかける人が、今、月に何人くらいいるのだろうなということがとても気になった。

いればいいと思う。

私は頼んだことがない。

出張先でマッサージなど、頼まない。今後もないだろう。

でもきっと、これで癒やされて、明日の活力を得た人もいる。

そういう人たちの生きる宇宙と、私の宇宙とのねじれの関係を思って、少し陶然となる。

マルチバースってこういうことなんだなと思う。


思う、と書いておけばそこそこ許されるという状況がある。心の中は不可侵だと一般に考えられているからだ。思えば思うだけ自由だなんて、非道い話だ。思いとは暴力である。その暴力は誰もが振るうことができ、基本的には誰も傷つかないから余計に汎用されており、だから、私は、思うのもいい加減にしろよと思うことがある。