深呼吸しただけだヨ

電車にたくさん乗る出張のおかげで、読もうと思っていた本や雑誌を一気に読み進めることができた。2日間で6時間くらい乗っているから、途中、多少PCを開いてメールの返事などをしたとしても、十分に読書の時間をもうけることができる。近頃はこういう「読書くらいしかすることがない時間」をなかなか設定できなかったので、やはり出張は多少面倒でもときどき電車にしたほうがよさそうである。でも、一気に読みすぎて、旅の途上で読む本がなくなってしまった。もう一冊、サラ・ピンスカーの第2短編集も持ってくればよかったのだが、荷物が重くなるのが嫌だったのと、なんだかまあ今回はいいかなと思って置いてきてしまった。サラ・ピンスカーの第2短編集は、第1短編集の非凡極まりない完璧な出来栄えと比べると、「おそらくこちらのほうが書きたいことなのだろうが、それほど心を動かされない話も多い」みたいなことになっている。そのため、1/3くらい読んだところでいったん保留としている。おもしろくないわけではない。でも、ちょっと説教臭い。教訓めいて、教訓めきすぎて、めきめきしていて、すこし鼻につく。はっとするようなおもしろい短編もあるので、最後まで読むとたぶんまたお気に入りの本になってくれるんじゃないかなとは思うのだけれど、買ったばかりの頃の期待値をまだ越えていない。そのことが確定してしまうかもしれないと思うと、なんだかあまり急いで読み進められない感じだ。私のメンタルが抜群に調子のいい日に読もうかなと思っている。そんな日がいつくるのかはわからない。

書いていて思うけれど最近の私はブログになにかを書くときに微妙に不機嫌な気がする。

PCを後ろから覗き込んでも画面が見えなくなるシートをオンラインで購入。そこまでせんでも、と思っていたけれど、メールだけならいいかな、なんて考えだったけれど、ちかごろは臓器が出てくる論文に目を通しながらコメントを付けていくといった仕事もあって、さすがに公衆の面前で誰もがうっかり目にしてしまうような状態を放置するのはまずい。「マグネットでPCにくっつけることができるやつ」を選んだ。それはいいのだが気になるのは「ブルーライトカット」というところだ。「マイナスイオンたっぷり」「ポリフェノール入り」「マイシグナルで安心」あたりは同じ箱の中に入れている。

ほらまた不機嫌だ。加齢によって前頭葉の機能が低下して、何かに不満を持ったり怒りを覚えたりしやすくなってきたのだろうか。

出張先のホテル、朝、フロントに向かうべくエレベーターに乗る。ドアが開くとそこには3名のがたいのいい高校生がいて、朝食会場でも見た、なにかの部活の大会で宿泊しているのだろう、バドミントンあたりをやっていそうなジャージを着ている。男性3名。ひとりはエレベーターのボタンの前に陣取っていて、残る2名は反対側で、「小さい前ならえよりも近い距離」でぴったりと縦列に並んでいる。入る場所はその1名と2名の間のところしかない。無感動のまま彼らの中に挟まるかたちでドアに正対する。1名のほうが「おい……」という。2名、しゃべらない。なんかくすくすと言っている。悪ふざけの途中で私が紛れ込んでしまったからなんとなく3名ともそのまま静止している、といった感じである。なんの意味も生産性も物語もない時間が1分ほど流れる。男子って、こんな感じだったよなあと、妙な感慨を覚える。ところで『アオのハコ』のバドミントンのシーンってぜんぜん読んでないし誰が誰とくらべてどれくらい強いかもぜんぜん覚えてないんだけど、青春ってどっちかっていうとバドミントンのラケットを左後方に放り出すように伸ばすときの足が左右逆だったな、みたいな人生の岐路でもなんでもないどうでもいい選択の繰り返しだったわけで、青春を描いたマンガのそういう細かいところが全然頭に入ってこない時点で私はもう青春を見聞きする資格も能力も失っているんだなあと、深くため息をつくけどこれは別に不機嫌でついたため息ではないヨ。