ダウンロードが進まないのでブログでも書くか、みたいな時間である。送られてくるファイルのサイズは10GBくらいなのだが、まあ、もちろん重いとは思うが、にしても有線環境であればそこそこのスピードで落ちてくるはずのものが、5Gとは名ばかりの1G回線のテザリングでは、ちっともメーターが進んでいかない。それにしても、5G導入時には、2時間の映画MP4がフルで2秒でダウンロードできるという触れ込みだったと思うのだがあの話は今や誰もしていない、どういうことだったのか。AIが後ろでがりがり稼働しているせいで人間が使えると思っていた帯域がほとんど使いつくされたとか、そういう、「言い訳」みたいなものを誰か教えてくれないだろうか、そうじゃないと、単純に、5Gも6Gも携帯電話会社が機種変を我々に強要するのに必要な方便だった、という把握で終わってしまう。
まあそういう把握でよいのかもしれない。
ラジオから泉谷しげるの曲がかかっていてびっくりする。東京ポッド許可局のかける音はもはや異次元に古くて聞いたことがないものばかりで、取り残されることでかえって尖ってしまうアメーバの偽足のようだ。
ダウンロードは一向に進まない。メールのやりとりも終わった。JRはあと数十秒で動き始める。今週は車のない1週間で、夜中の買い物もしないしバスのある時間までしか働けない。時間に足を引っ張られる、他人の都合に乗っかってはたらく週である。まるでそうじゃない週があるとでもいうような言い草だ。
妻に買ってもらった革靴の、靴紐の部分を少し緩める。
週末、研究計画書を5つ書き、依頼原稿を2つ仕上げた。順調だな、と思う。いろいろ後手に回っていたが、そろそろ、今週あたりは仕事の行く末に先回りするような働き方ができるかもしれ 、ここまで書いたところで車内放送がかかっていると気づく。イヤホンをはずす。よく考えると出発の時間を2分過ぎているのにまだ電車が停まったままだ。上幌向・のあたりで停電が発生し、電気関係の社員を向かわせているところ、電車はひとまず駅から動けない状態で、運行の見通しは立っていない、みたいなことを、車掌が多少なりとも慌てながら一息に、三度ほど繰り返してしゃべった。そうか、そうか、週の頭からそういうことになるか、まあ、そういうこともある。ファイルのダウンロードは25%のところで足踏みしている。次の放送で「とにかくいったん電車を降りてくれ」ときた。ひとまずPCを畳んで車外に出る。困惑した乗客たちが全員手元の端末を覗き込んでいて不気味さが際立つ。待つか、あきらめるか、いくつかのことを考える。駅前から出る高速バスの発車が15分後だ。切り替えるか。このまま待っていればうっかり電車は動き始めるかもしれない。でもまあどちらにしろ遅刻だ。ならば早めに「この先の遅延の度合いが確定するほう」を選ぼう、JRをあきらめる。改札の有人受付の前に人が並んでいる。払い戻しの列だろう。でも通路のところは開いている。払い戻しを後で受けるためのスタンプだけください、ということを伝えると優しい駅員が小走りにスタンプを押してくれる。ありがとうございますと、マイクを通さなくても窓口の穴ボコからきちんと相手の耳に届くボリュームでお礼をいう。バスまでダッシュして並ぶ。問題なく乗れる。バスの席に座ってPCをひらくとファイルのダウンロードが終わっている。さっき、電車の席に座っていたときのペースだと、まだダウンロードは終わっていないはずだったのだが、外を走っているうちに電波のよい領域に入ったのかもしれないなとふと思う。そんな都合のいい回線をdocomoが持っているとも思えないが、インフラのおかげで今日も働いているんだなと、ひとまず先程のJR札幌駅の改札で対応をしていた職員のことを思い出してもういちどありがとうの念を送る。