羽田空港で乗り継ぎの飛行機を待つ間、ラウンジに行くと白Tにジーンズで平成の江口洋介みたいな髪型をした男が電話スペースで大声でずっとしゃべっているのだ。しかもほとんど同じ見た目が二人。二人とも電話をずっとしているのである。背丈くらいしか違わない。「飛行機で移動する合間に延々と電話をしているのがかっこいいと思っているのであろう服装」だなあと思った。この時代にそんなにネチネチ電話しないと働けない職種ってなんなんだろう。メールとかSlackとかで書けばいいのにそうしないのはどういうことなんだろうか。相手がクライアントだというならわかるが口調はタメ口、それもかなり偉そうなタメ口であきらかに指示出しである。飛行機で移動するスケジュールの最中に電話をしないと部下を動かせない程度の働き方をしているのか……とだいぶバカにして眺めていたのだけれど、まあ、他業種の実状なんて私にはわからないこともいっぱいあるだろうし、文字にすると証拠になるから基本電話、というパターンもあるかもしれない、書き言葉と話し言葉ではニュアンスがかわって仕事のアウトプットに差が出るという業務も世の中にはきっとあるだろう。だからそんな、何もしらないくせに、あまり人をコケにするものではない、それはそうなんだけれど、だって、ここ、公共のラウンジだぜ? そこでこの声量でよいと思っているタイプの男だぜ? ならきっとバカだろう。そのバカが働く仕事だって大したことはないんだ、きっと。人をおとしめるたびにチャリンチャリンと金銭が発生するような類の、どぐされディベロッパーとかアングラ投資家とか、右で売っていたものを右で無償配布していたものと拡大解釈して左で売りさばく系の悪徳業者とかだろう。さっさとラウンジから出ていってくれねえかなと思ったがなかなか電話を切らないので私が出た。共有スペースというのはどれだけ運用側が気を遣っていてもこういうリスクが発生する。静かにすべきところで静かにできない、しない人間というのは一定割合でいる。私もそういうのをすごく気にするタイプではないと思っていたけれど、結局こうしてブログに書いてしまったし、たぶん自分で思っている以上にいらいらしたのだろうな。やだな、声と顔のデカいタイプの人間。
で、そういうことを、自分もどこか違うシチュエーションで、違うペルソナで、やってしまっているかもしれないなということを常に考える。常に考えたほうがいいだろうと思う。
自分の思い通りにならないときに人前でぐんぐん不機嫌になっていく人間のことをふと思い出す。さっきのラウンジの男とはまるで違う見た目、性格、人あたり、だけど「公共」の場において我を通すという意味で同じハコにぶちこんでしまうなあ。
飛行機の時間が近づいてきた。知人LINEがきて、リュックにお守りをつけたら翌日にはなくなっていたというので、それはなんか、誰かにとられちゃったのかもしれないなと思いつつ、厄落としという言葉でこれをなぐさめてよいものかとしばし悩む。まあ、いいんだろうな、と思って「厄落としだと思えばいいよ」とLINEをした直後に、「どう思えよ」「これこれこのように思えよ」というLINEを軽々しく送ってしまう私もまたなんらかのハラスメントの基質を持っているのだろうなと思う。