人間はトポロジー的には「管」である、みたいなことをドヤァ的に語っているアカウントを定期的にみるのだけれど、さて、どうかな、もうちょっと複雑なのではないかな。
触手でもいいしミクロの探査船でもいいのだけれど、人体の表面からずっとなぞっていったとき、クチの中から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸と這っていって肛門から出ることができるので、つまり消化管の粘膜は「外表面」ということができる。ほかにも人体の中にもぐりこんだ「外表面」はいっぱいあって、それは鼻から入っていって気道を通って肺胞まで行ってもいいし、耳の穴から入っていってもよい。尿道から入っていって膀胱を辿って尿管を上行して腎盂粘膜までたどり着いて、そこから尿細管をどんどん遡っていくのもオツなものだ。
ここまではいい。ただ、じつは男女でひとつだけ違いがある。男性の場合はどの穴から入っても「腹腔」(臓器が入っているお腹の中のスペース)にたどり着く方法はない。しかし女性は別で、膣から入って子宮頚部をさかのぼって子宮内膜から両側の卵管をたどると、最終的には卵巣の手前で卵管采が腹腔内に開口するのだ。つまり、女性の場合、「お腹の中にも外から直接たどり着くことが理屈上はできる」のである。実際には途中に粘液の壁があって、ビックバイパーが泡面をばちばちに撃ちまくって突破していくかのうように粘液を突き破っていかないとそう簡単には腹腔内までたどり着けはしないのだけれど、少なくとも、「男性の腹腔は完全な閉鎖腔」だが「女性の腹腔はわずかに外と交通する手段がある」ことは事実である。つまり男性は「管の壁の中に腹腔という隠しスペースがある」のだが女性はそうではないのであった。つまり男性と女性では微妙に管の複雑さが異なるということになる。
では人体の中に完全な閉鎖腔はないのか、というと、一般にはあると考えられていて、それは血管内と髄腔内である。血管に穴が空いていたら出血して死ぬだろうからそれはそうだろう、と私も長年考えていた。でもよくよく考えると、腹腔内を循環している微弱なリンパ液が腹膜表面のリンパ管から吸収されて静脈に帰っていく経路がある。ここを使えば女性の場合は体外からがんばって血管内にアプローチすることが可能は可能だと思う。くりかえすが途中には子宮頸部の粘液があるし、卵管内だって線毛によるベルトコンベア的メカニズムが働いているので、そう簡単に腹腔にはたどり着けないけれどそういった障害をミクロの根性(?)で乗り切っていけば、膣から虚仮の一念で血管内に侵入することも夢ではないだろう。
では髄腔はどうだろう。髄液は最終的には上矢状洞付近のくも膜顆粒から吸収され、静脈に合流するはずであり、静脈を逆走すれば髄腔内にも入り込むことはできる。
女性の場合はもはや「どことも交通していない腔」というのを探すのは困難である。一方で男性の場合は、腹腔と外界との交通がどこにもないので、腹腔も、胸腔も、血管腔も、髄液腔にも外部から直接たどり着くことはできない。パイプやちくわを変形させていけば女性の体は作れるが男性の体は作れない。
男性の胸に使いもしない乳首があることをもって「人間の体は女性がベース」と考えるのはかなり有名だけれど、神様がいたとして、その神様はきっとチクワ的なものからまずは女性を先に作った。それを神的にいじりまくっているうちに、一部の穴とか精神とかがふさがって、いっけねと思っていろいろ抑えたり引っ張ったりしているうちになんとか男性ができた。ただまあ言ってみれば男性はアレンジ版というか2P色というか、二次創作というか公式同人なので、いろいろと不具合があって、女性より長生きできないし、いくつになっても基本的にバカである。